先に申し上げますと、私は経営者ではありません。ある日「来年からトリミング料金を値上げするんだけど、何か意見があったら参考にしたい」と直々に言われました。私はトリマーとしての実績は長いのですが、現在の職場に来て半年ほどです。
ちょっとためらいましたが、「少しでも私の意見が参考になれば」と思い提案した事を記事にしました。トリミングサロンによって「出来る事」「できない事」がありますが、トリミングサロンの価格変更を考えているオーナー様のお役に立てれば幸いです。
トリミング料金の価格見直しについて提案したこと

ここで言うクイックセットコースとは{爪切り、耳そうじ、校門回りバリカン、足裏バリカン、足回りカット、腹バリ、肛門腺絞りです)
- (爪切り.耳掃除.足裏バリカン.腹バリ.足回りカット)クイックセットコース料金の見直し
- 専門店ならではのシャンプーメニューを増やす
- 作業が大変だな思う犬種の価格見直し
- チワワ、ダックスのロングとスムースを分ける



上から順番に、人気のあるメニュー、お店に足りないメニュー、作業の大変さを意識して上記の3つに絞りました。その理由を次に書いています。
クイックセットコース料金の価格見直しを提案
お客様には良心的価格でクイックセットコースはとても人気です。クイックセットだけすればあとは家でシャンプーできるからOKの子もいるのでとても良いサービス提供だと思います。ですが、お店からすると「一旦作業中止」「15分~20分時間が取られる」ことになります。(その分この後の作業に支障が出る事があります)
その他にも「お会計.接客」としなくてはならないのでそこそこ時間が取られます。オプションで部分カット等ありますと、価格の見直しが必要かと感じました。
クイックセットコースはお店側の「サービスオプション」なので価格を上げないで提供するとするなら問題ないのですが、作業時間が減ってしまうとトリミング作業、入れられる頭数、時間配分にマイナスが出てしまいます。そのような事をふまえて簡易セットコースに上乗せ出来ると良いかな?と思いました。
料金価格 参考例
小型Sサイズ:1000円→1300円
小型Mサイズ:1200円→1500円
中型サイズ : 1500円~2000円→1800円~2300円



この簡易セットコースは本当に人気があるメニューです。1日に5~6頭入った場合その分シャンプーカットコースのわんちゃんの作業量割り当てがへります。同様に入れられるわんちゃんをセーブするのでその分の値上げを提案してみました。


専門店だからこそシャンプーのコースを選べると良い
次に提案したのはお店に足りないメニューです。参考店舗の料金表を比較した結果、その中で気になったのがシャンプーの種類とシャンプーメニューのコースでした。当店にもメインで使用しているシャンプー以外にもありますが1つしかない事と、シャンプーのオリジナルコースがありません。トリミング専門店であるのに仕上がりを左右するシャンプーの種類があまりにも少ないのです。
シャンプーの種類でも仕上がりに差は出ます。このあたりはこだわりをもっておすすめしていくべきだと感じました。安い方がいいという方もいますが、「うちの子にはいいシャンプーで洗ってもらいたい」という方が必ずいます。このシャンプーがどれだけ良くて、どんな感じに仕上がるのかというセールストークは必須になりますが、プラス要素一つで売り上げを上げていく事は十分可能かと思い提案しました
例えば「保湿ケアコース」など。乾燥する時期や、肌が弱い子にはおすすめできそうな気がします。このように犬の皮膚や、被毛の状態などからお客様が選べる事、またはお店側から提案していく事は必要かと感じました。



せっかくのトリミング専門店でありながらシャンプーのグレードがあまりにも少ないので提案しました。わんちゃんの毛質、肌に合わせてシャンプーをおすすめできるところがなかったのです。これはもったいないですよね。
作業が大変だと感じる犬種の価格見直しについて提案
小型犬ですが、ポメラニアン、ペキニーズ、パピヨンはシャンプー前のブラッシングに時間がかかる事も多いです。
その中でもポメラニアン、ペキニーズはアンダーコートの絡みが多く時間がかかります。
中型犬クラスの子はそれなりの価格設定になっていましたが、小型犬とはいえ作業時間がかかる犬種に関しては少々価格が安い設定でしたので価格の見直しを提案してみました。



これらの犬種を上げた理由は、毛詰まりが多く、作業量に時間がかかる事が多い事からです。


チワワ、ダックスのロングとスムースが同じ価格だった
チワワとダックスのロングとスムースを分けていない事に気づき、この2犬種を分けるという提案をしました。
(以前勤めていた動物病院ではこの2犬種の料金を分けていました)競合店資料をみるとロングとスムースで分かれている所がほとんどと言ってもいいです。ロングとスムースではアンダーコートを取る量、乾かす時間もあきらかに違います。
以上の理由から、この2犬種の価格見直しと言うよりも、分けるべきだと提案しました。



同じ犬種でも毛が「長い・毛量が多い」と「短い・毛量が少ない」では作業負担が変わりますので、価格の差があるのは普通かと思います。
全体の価格見直しについて思った事
具体的に金額を出すというところまでの提案まではしていませんが、価格の見直しは今後も無い話ではありません。「下げる」よりも「上げる」事が会社としては一般的かなと思います。とは言えただ全体の価格を上げるという事よりも今の料金体制にプラス出来るサービスの追加や見直すべき価格をまず先に提案してみました。
また数年後に価格の見直しがあると思います。ずっと値上げばかりではお客様も離れてしまうでしょう。サービスの追加や、トリマー全体の技術を上げてお客様に「この金額でも自信をもって納得していただける」ようなトリミングサロンを目指す事が1番大切な事かと思いました。
提案したこと
- クイックカットの値上げ
- サービスの追加(シャンプーのグレードをプラスする)
- 犬種トリミングの負担量で価格を上げる
- 犬種タイプを分ける(スムース.ロング)
そもそも価格を上げる理由は、市の雇用最低賃金が上がったからとの事でした。どんなお店でもありうる事です。仕入れ、光熱費、家賃、人件費等ありますが、それらの値上がりがあればお客様から売り上げをいただく事になりますが、
お客様の気持ちを考えると「ただ値上げしました」では納得いただけません。それに見合うサービスの見直しも同時に考えていかなければいけません。
初めにも言いましたが、お店によって「できる事」「できない事」があります。スタッフの人数も少なければ他店舗がしているサービスが難しい事もあります。
良いサービス提供ができる事を同時に考え、お客様に喜んでもらえるような工夫をしていく事をあらためて考えさせられる良い機会になりました。



もし同じように価格の見直しを検討しているトリミングサロン様の参考になれば幸いです。最後まで読んでいただいてありがとうございました!